ゲンドウは山岸達郎(やまぎし たつろう)防衛庁長官の執務室で山岸と対面していた。
山岸は眉間にシワをよせて、ゲンドウから手渡された書類データをハンディーモニターで見つめてる。
「碇君・・・・これは本当に・・・・信じられん」
驚愕する山岸に対してゲンドウは相変わらずのゲンドウポーズで山岸を見つめている。
山岸は全てのデータを見終わって、ゲンドウを改めて見つめた。
「碇君、君は私に何をしろと言うのかね。」
「戦略自衛隊のネルフに対する全面協力です。」
「その見返りは」
「貴方には日本国の総理大臣になって頂く、それも長期政権を目指して頂く、その為にネルフとゼーレは全面的にバックアップさせて頂ましょう。戦自にはネルフのオーバーテクノロジーの全てを提供させて頂ます。」
「それで、君の望みは・・・・何だ!」
「未来を残したいだけです。」
「人類が滅亡するならしても良い・・・それが全人類自身が選んだ選択なら・・・しかし、強制的に終わらせられるのは我慢出来ないだけですよ・・・」
「ふむっ、君の言う事は良く解る・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・私も同意見だが、事が終わった後は好きにして良いと言う事かね・・・・」
「どうぞ・・・」
「解った、そういう事なら協力させて頂こう・・・」
「ありがとうございます。」
「しかしゼーレを騙し続ける事ができるのかね」
「貴方次第ですが・・・シナリオ通りに行けば・・」
「一蓮托生と言う訳か・・・・・」
「明日にでも幕僚達を君の所へ行かせよう・・・」
「ではこれで・・・」
ゲンドウは山岸に握手も交わさず執務室を出て行った・・・・・
山岸はその姿を見送り、改めて自分自身の責任の重さを噛み締めていた。
「人類の未来か・・・・・」
ゲンドウは第三新東京市に帰る車の中であの時の事を思い返していた。
マモルから全てを見せられた時の事を自分自身がユイを失った事で悪魔に魂を売ってしまった狂気、後先を考えず、ただ自分の欲望に身をを任せてしまった・・・
シンジの想い、シンジが自分に対し、あれ程までの愛情を持っていてくれたとは・・・・
ただひたすらに涙が出て来た、冬月、ナオコ、そしてユイも同じだった・・・
『やるべき事』(壱)
全てを知った今ゲンドウを中心に冬月、ナオコ、ユイは行動を開始した。
マモルからあの時に渡された6つの光輝く玉、マモルはコアだと言った・・・・
零号機、初号機、弐号機、參号機、四号機、そしてリリスの魂と言うべき綾波レイの命・・・・・
マモルは4人を連れてセントラルドグマにあるリリスの前に立った。
彼はリリスからレイを取り出し、未来から持ってきた魂と言うべき生命の種をレイに埋め込んだ、死海文章にしるされた、巫女の誕生である。
姿は生まれたばかりの赤ん坊として・・・・
レイは碇夫妻に育てられる事になり、生まれたばかりのシンジと共に大切に育てられる事となった、シンジとレイは3歳になった時から英才教育を受け、あらゆる知識を学んでいった。
ゲンドウと冬月はゼーレに対して人類補完計画を提案し、死海文書の予言に従い第三新東京市の建設に着手、ユイはエヴァ零号機、初号機の開発、ナオコはマギーの開発に没頭する。
全てが動きだした。
そしてマモルは国連軍の名将としてその頭角を表す事になる。
マモルは戦術家として、卓越した作戦で、世界中の争乱、テロ、内戦を平定して行った。
自軍の被害を極力抑え、また相手の被害も最小になるように、最後は和平交渉による
紛争の解決を図り、世界中から「21世紀の最初の英雄」と言われる事になる。
日本国山岸政権発足
山岸総理の就任演説(一部抜粋)
「紛争の発端はイデオロギーと言うより、飢えと貧困であり、富の分配を間違えなければ争いはおきない。」
「まずは食料の確保を約束し、次に自給自足が出来る様に手配する、そして生活環境、教育を改善して行く事により、争いの種を無くして行く事が出来ると信ずる。」
「宗教やイデオロギーが紛争の原因と思われている戦争も突き詰めて行けば、ある一部の権力者が自分の欲望の為に民衆を宗教やイデオロギーを使い先導し、国が貧困なのは敵である○○国が悪い、○○民族が悪いと思い込ませ始まった事である」
「また、過去において、歴史上の侵略戦争も相手の富と資源を奪い、略奪する事で、自国の国民を満足させる事において権力を維持する為に戦争を行った愚行であり、現在においてその為に未だに恨み、嫉妬、復讐が国家や民族間に燻り続けているである。」
「私は信じている、どんな人間の心にも「穏やかに、平和に楽しく暮らして行きたい」と思う気持ちがあるはずである、そこに心を込めて説得し、訴えて行けば道は必ず開けて行くはずだ。」
「その為の科学であり、医療であり、エネギー政策である、奪い合う時代は終わった、競争して相手を追い落とす、時代は終わったのだ、今からは協力して作って行く時代であらねばならない。日本は全世界に約束する、日本の全てをかけて世界中に協力して行く事を・・・」
日本は国連の発表による、セカンドインパクトの原因における使徒の存在、サードインパクトによる人類存続の危機による第三新東京市の建設の特需により未曾有の景気を有していた、それだけではなく、ネルフが発足以来のオーバーテクノロジーにより、自国の食料の自給率は100%を越え、風力、地熱、海流、太陽発電の開発等でエネルギー問題も国のエネルギーを電化、バイオ燃料化、水素燃料を使用する事により克服、大型プラントにより、海水から飲料水、資源を分離する事により資源の確保、と異常気象による、水不足、を解消した。
資源のリサイクル化も70%と消費大国からエコ大国として生まれ変っていった。
日本はこの技術を使い、貧困に喘ぐ国々を救っていった。
海水プラントによる水不足の解消に始まり、その国に合った発電技術の提供、農地、養殖、畜産の工業化 地下を使い、気象による不作を解消し、安定した食料を提供した、
また技術者の研修や医者、看護士の派遣、また他国の人々の育成等を日本に留学させて学ばせた。
一方でゼーレには巨万の富が送られ続けていた。
世界中の食料工場や海水プラント、発電所の建設等は全てゼーレの配下の企業が建設、管理、運営を行っている。
その富を惜しげも無く第三新東京市建設エヴァ開発につぎ込んでいくのである。
その事で日本を初めとする先進国が潤い、その金が途上国に回って行く・・・
この流れこそが、経済であり、一部の人間が、この流れを止めて、自己の欲望で富を独り占めしてしまうと経済格差が生まれてしまう。
10年後世界から紛争が徐々に消えて行く事になるが、全面的に消える事は無い、今までエネルギーを握る事で世界を支配してきた、特権階級の人々の反発がネルフと日本、そしてゼーレに向けられる事になる。
人類補完委員会会議
人類補完委員会とは来るべき使徒との戦いにおいて、人類を守る為に結成された。
国連の機関で、ネルフが使徒戦の実行部隊とすれば、補完委員会は使徒戦における、予算の編成や人員の配置権、監視、政治的な配慮等の役目を担う
もちろん表向きではあるが・・・
「うむ、やはりアメリカが弱いですな」
「彼らのプライドは尋常ではない、彼らは何事も一番でないと気が済まないらしい・・・」
「さよう、困ったものだ・・こちらの流れに乗ってもらえれば、もっと発展できるものを・・・・」
「そこで、ネルフの第二支部をアメリカに作り、參号機と四号機の制作をする事になった」
「これで少しはアメリカの経済が潤うはずだが・・・碇君には申し訳ないが・・・」
黒いバイザーを付けた老人が会議室末席に座るゲンドウに向かって話しかける、
ゲンドウは相変わらず、表情を変えず淡々と答えた。
「碇ユイ博士をアメリカ支部に出向の件は承諾致します。本部としては痛いですが・・・参号機と四号機が完成次第碇ユイ博士と共に本部に返して頂ければ問題ありません。」
「そう言ってくれると助かるよ支部の技術者だけでは計画の遅れは目に見えてしまうからな」
「その見返りと言っては失礼だが、第三東京市も40%程施設が完成した事で、そろそろ実戦要員の人事を始める事とした。実戦部隊の指揮官としてこの男を君に送ろう・・・」
中央のスクリーンに天宮マモルの写真と経歴が写しだされる。
「多分君の期待を裏切らないと思うよ・・・・・」
ゲンドウはじっと天宮マモルの映像を見つめながら
「彼なら大丈夫でしょう・・・」
とゲンドウポーズを取りながらニヤリと笑った・・・・・・
三新東京市
天宮マモルは国連軍の命令により、特務機関ネルフに出向となり統合本部長を拝命した。
国連軍が用意した輸送ヘリで第三新東京市に向かう。
「いよいよだなぁ〜皆な頑張ってくれたから」
マモルは心の中で呟きながらこれまでの事を思い返していた。
「陸将殿、間もなく着陸致します。」
機長からの連絡を聞き窓から外をのぞき込む。
バトルフィールドと城壁要塞群が視界に入ってくる。
「うん、設計通り出来上がってる・・・あれから6年でよくもまぁこれだけの物を・・・」
マモルは満足げに微笑んだ。
バトルフィールドはマモルの発案でユイと一緒に設計した物であり、使徒迎撃の為に知恵をしぼった結果である。
もちろん裏死海文書を書き換えてゼーレにさも最初から書かれている様に伝えてある。
書き換えたのはバトルフィールドの事だけではないが・・・・・(笑い
バトルフィールドの一角にあるヘリポートには司令であるゲンドウ、副司令の冬月技術部長の赤木ナオコ、E計画開発部長の碇ユイ、作戦部長の田所 浩二一佐が出迎えにきていた。
輸送ヘリからマモルが降り立ちゲンドウに向かって歩み寄り、惚れ惚れとする様な敬礼をし、
「天宮マモル陸将国連軍参謀本部より、特務機関ネルフ統合本部長として着任いたしました。」
と報告した。ゲンドウは答礼をして
「貴官を歓迎する!」
マモルと握手を交わした、周りにいるメンバーも笑顔でマモルを迎えた。
そこにはやるべき事を成したメンバーの自信と誇りに満ちた笑顔だった・・・
「やるべき事」(壱)了
takeの戯れ言
久々の更新となりました。(;´∀`A ```
仕事が多忙になり身体を壊してしまい。人生で初めて過労による入院を体験いたしました。
もう無理が出来ない体に・・・・(´Д⊂グスン
これからも少しづつですが、更新して行く所存です。
見捨てないで下さい?((゚Д゚|||))
「やるべき事」
心の中でやるべき事が解っていても行動が伴わないと駄目ですね。
自分は怠け者ですから本当に・・・・・
感想や叱咤激励お待ちしてます。m(__)m