西暦2015年某日
第三新東京市に突然警報が発令された。
「本日11時30分に第三新東京市を中心に半径50キロ圏内に国連特務法令D−80により非常事態宣言が発令されました。対象となる地域の皆様は定められたシェルター及び避難場所に避難をして下さい。尚これは訓練ではありません。訓練ではありません。」
「繰り返しお知らせいたします。本日・・・」
全てのマスメディアに一斉に流れだす。
上空にはヘリコプター、道路には広報車が同じコメントを繰り返し流しながら、非常事態宣言を伝える。
第三新東京市を中心に半径50キロには戦略自衛隊の隊員、国連軍の隊員が規定配置に付き、市民の誘導を開始する。
戦略自衛隊の小隊長である柳井三尉は部下である第3小隊の隊員達に命令を伝える。
「ただいまより作戦201を発動する、いいか!訓練通りにやれば良いんだ!冷静になって市民を誘導しろ!随時連絡を怠るな、残っている者が居ないか、チエックを徹底しろ!暴動や暴行、窃盗等の犯罪者に対してはただ今より発砲を許可する!かかれ!」
隊員達は一斉に敬礼をして自分の持ち場に向かった。
持ち場に向かう、隊員達を見ながら柳井は震えるひざを必死で手で押さえようとしたが無駄だった。
そうして、苦虫を噛み潰した様な表情になり、うめくように「本当に来やがった!」と言葉を吐いた。
『使徒、襲来』
非常事態宣言が発令される1時間程前
日本沖太平洋洋上監視船信濃丸はいつもの哨戒任務に付いていた。
日本の周囲特に太平洋側には常に監視船が哨戒している第一線を退いた、老朽艦ばかりだが特殊装備を新たに装備している
名前は信濃丸に変っているが元はロシアの駆逐艦である。
この様な艦艇がお互いを補う様に日本の200海里線上に配置されている。
洋上だけでは無い、海底には日本海溝の底まで監視用のセンサーが碁盤の目の様に配置され、宇宙からは10機の静止衛星、20機の監視衛星で常に日本周辺を監視している。
世界一の監視網である。その全てのデーターと信濃丸はリンクしており、異変が有れば直ぐに探知できるシステムになっている。
後6時間後には交代の船が来て、一時の休息が与えられる・・・・
艦長の成川三佐は艦橋の艦長席に座って久しぶりに会う孫の事を思っていた。
一ヶ月前に長男に長女が誕生した。
「初孫があんなに可愛いとはなぁ 俺も年を取ったって事か・・・」
成川は一人ごこちだった。
その時、警報がなる!
成川は即座に現実に戻り叫んだ!
「報告!」
即座に副長が艦内電話を取り、確認し、報告する。
「艦長!203地点、水深500mに未確認物体を発見!長さ約20m幅約10mと思われますが、現段階でははっきりと解りません!現在80ノットのスピードで本艦に向かって進行中、本艦の直下までの時間は約3分です。」
成川は報告を聞くと即座に次の命令を下した。航海長「全速前進! 取りかじ一杯!第一級戦闘配置!」
「了解!取りかじ一杯!」と航海長の声!
艦内には警報が鳴り響く!
信濃丸は即座に回避行動を取る。
次に成川は「本部に連絡,203地点、水深500mに未確認物体を発見、80ノットのスピードで日本に進行中、本艦はこれより、規定の確認作業に入る。後、現段階で解るデータを直ぐに送れ!副長!今本艦にもっとも近くのイージス艦どこか!」
通信士は本部に即座に連絡を送る!
副長より報告が入る「一番近くに和泉がいます。本艦より東15海里地点です。」
成川は頷くと「海自か・・・和泉に攻撃要請!緊急宣言E-401により、未確認物体に対し、攻撃の要有り、未確認物体に攻撃を要請する。尚目標デターをリンク回線で送る、以上だ」
「多分、和泉も先ほど通信を聞いていたはずだ、心苦しいがやもえん・・・」と成川は呟いた。
信濃丸には武装が無い特殊装備である監視システムにより武装が出来ないのだ、
そのかわりエンジンを協力な物にしており、最高で45ノットの速力がだせる。
もし、目標が反撃したら・・・そして思った通りの目標だったら・・・・
最新鋭のイージス艦の和泉もひとたまりも無いだろう。
副長より、「和泉艦長石田一佐より返信、データリンク確認!直ちに目標に対し、魚雷による攻撃をかける。」と返信です。
成川は「感謝すると返信してくれ!それと計測班、計測を開始しろ」
観測班オペレータより「和泉、魚雷を発射しました。目標まで後1分30秒」
観測機材が一斉にスタートする。魚雷はこちらに向かってくる目標に向かって瀑進して行く。
成川はごくりと喉をならした。
「魚雷到達まで後10秒 7秒 5、3、2、1、0」
「目標に命中!」
「データー結果・・・・・」オペレータの声が詰まった。
「落ちつけ」と成川は静かに言った。
オペレータは決意した表情で、「パターン青です!」と呟くように叫んだ!
成川は「本部に報告!目標はパータン青、繰り返すパターン青現在位置はデータリンクで追尾中以上」
即座に本部送信される
成川は間髪いれずに「航海長目標から出来るだけ離れろ!コース301全速前進!」
この命令も即座に実行された。
成川は副長の顔を見ながら「和泉は無事か、目標からの反撃はどうか」
副長は少し安心した顔で、「目標から反撃はありません、和泉も健在です。どうやら見逃してもらえたみたいですね」
成川はがっくりと肩を落とした。
そして「ついにこの時が来たようだ、後は本部に任せよう!みんなご苦労だった、戦闘配備を二級に戻せ!和泉にも感謝の通信を送る、」
成川は今から始まる事の重要性を痛い程感じていたが、それよりも今生きている事の方が嬉しかった、
しかし孫にまた会えるのかどうか・・・家族は友人達は・・・
考えが悪い方に進んで行く・・・・
しかし思い直して自分を叱咤する!
「今は自分に出来る事を全力でやるんだ!それが自分の使命であり、みんなを守る事になるんだ!」と心の中で叫んでいた。
そうして艦の方向を変え目標のデーターを本部に出来るだけ多く送る事を決意した。
特務機関ネルフ
語源はドイツ語の『Nerv(神経)』とされる、第三新東京市はネルフ本部と同義語だと言って良い。
上空から見ると直径20キロに渉る広いエリアに一定の間隔に高いビルが建っている様に見えるが、これはビルでは無い、地下に太陽光を集めて地下に照射する為の集光塔である(太陽光発電もかねている)、海側を除く、箱根箱根山中の近くにあるこの第三新東京市の敷地の境には万里の長城を思わせる様な城壁が高さ30m幅20mで永々と続いている。城壁の外には転々と連なる住宅地や都市が広がっている。地上からは第三新東京市には立ち入りできないようになっている。
城壁の中にいくつかのゲートが有り、トンネルで地下に降りて行く、そう第三新東京市は地下都市なのだ。
この地下都市はジオフロント呼ばれ、直径6キロ高さは最高で600mのドーム場の空間で実際には直径16Kmに及ぶ球形の形をしているとも言われる。
その殆どが土砂に埋まっている
巨大なピラミッドの型の大きな建造物、ネルフ本部を中心に都市が広がる .
集光塔のお陰で地上に居る様に中は明るい、都市機能としては住居エリア商業エリア、公園とさまざまで、総合医療施設、学校等の施設も充実している、住人の殆どがネルフの職員又は関係者であり、人口は5万人弱である。また森や湖まである。
一見すると、地下に都市を建設しただけに見えるが、そのさらに地下には壮大な施設が建造されている、太陽光が降り注ぐ場所は単なる居住区にかすぎないのである
交通手段はリニアトレインと電気自動車(地上に出た時はハイブリットに切り替わる)でリニアトレインは地下鉄と言う形で第三新東京市と地上の衛生都市と結んでいる。
そして都市の直上の地上部には何本もの軌道エーベータがつながっている。
地上部と都市部間には約120mの厚さの屋根が有り、25層にも及ぶ鋼鉄製の防護壁、地表にはそミサイル発射等、各種の砲台、多種の兵器を格納する格納庫等軍事施設が数多く装備されている、都市を囲むやまやまには大型ミサイルの発射基地や長距離砲、等の要塞が点在する。
そう第三新東京市は要塞都市である。
人類再建の要・・・・
人類を滅亡から救う要塞迎撃都市、特務機関ネルフの本部・・・・
使徒から人類を守る為に・・・・・
ネルフの NERV本部中央作戦室に刻々と情報が集まってくる。
机の上に白い手袋した両手を組、顔を隠すように座っていた髭ずらにオレンジ色のサングラスをかけた、男に右側に立っている白髪頭の男が声をかける
「15年ぶりだな」
「ああ使徒だ間違いない」
二人の名ははネルフ総司令碇ゲンドウと副司令の冬月コウゾウと言う
作戦室内は喧噪に包まれいる
通信、情報分析を担当する、中央作戦室付オペレーター、青葉シゲル階級は二尉は作戦質中央の一番高い位置に座る司令官と右側に立っている副司令に向かって緊張をもって報告する。
「碇総司令!報告致します。信濃丸からの報告では目標からパターン青が検出されたそうです!目標の現着は今から3時間後のヒトヨンサンマル(14:30)と予想されます。」
ゲンドウ報告を受けると、席から立ち上がり叫んだ!
「現時点をもって目標を第三使徒と承認する、非常事態宣言D-80を発令!国連に特務権限によるO-103指揮権の譲渡を要請、国連軍及び日本国戦略自衛隊にD−80に伴う協力を要請してくれ!それとその後の指揮権発動の準備も要請してくれ、丁重にな!」
「了解致しました。」青葉二尉は敬礼をすると早速各方面に連絡を取り始めた。
ゲンドウは続いて力強く命令を下した。
「総員第一級戦闘配備!統合作戦本部長に作戦の発動と作戦指揮を一任する!」
冬月が命令を終えたゲンドウに苦笑いしながら
「今はここまでだな、これ以上は指揮権がないか・・・」
それを聞いたゲンドウは無表情で
「問題ない、指揮権を渡さないと人類は終わる」
「そうだな、だがな、嫌がっている連中もいるぞ 嫌がらせに指揮権発動が遅れるかもな、」
「フン!そんなのに一々構っていられるか!」
と無愛想にゲンドウが答える。
「それよりもいよいよ始まるな」
「ああ終わりの始まりだ・・・・」
ゲンドウと冬月は指令席の位置から統合作戦本部長の方を見ながら今から起こる苦難に思いを馳せながら、今一度己の責任の重さを実感していた・・・・
『使徒、襲来』了
takeの戯れ言
本編開始しました〜♪
まだレギュラー陣が3人しか出てないですが・・・(笑
今回艦名は明治時代の日本海海戦の時に最初にバルチック艦隊を発見したと言われています。信濃丸とバルチック艦隊を偵察し情報を送り続けた 和泉の名を御借りしました。
艦長も実名で・・・(;´Д`A ```(汗
この2隻ともまた登場させる予定です。
次回も頑張ります。
初めて書く小説なので、皆さんの感想やご意見を聞かせて頂けると嬉しいです。宜しくお願い致します。m(__)m